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オススメのミステリー小説、お薦めのミステリー小説 お奨めのミステリー小説


大藪春彦賞受賞作品一覧




1999年(第1回) ▼楽天
漂流街




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漂流街 (徳間文庫)
「漂流街」 馳 星周 (著)

日系ブラジル人マーリオ。
反対する祖父を殴り倒して出稼ぎにきた日本。
たどり着いた自動車工場。
過酷な労働、安い賃金。
クソのような今は、ヤクザがらみの風俗の下働き。

店の女ケイがそそる。
ケイの客。
関西ヤクザの大物。
チャンスだった。
奪った。金とヤク! 逃げた。
殺した。追われている…

警察に、中国人に、ヤクザに。

マーリオのたった一人の闘い!怒りと絶望を道づれに暗黒小説が疾走する。


主人公の日系ブラジル人マーリオが絶望に向かって疾走していく様を見事に描き切っている。
外国人・暴力・ヤクザなど、馳ワールドに欠かすことのできない要素は全て詰まっている。

物語の展開としては、前作、前々作の模倣と捉えられてしまう面もあるが、読み手にそれを感じさせながらも、ページをめくらせて読ませてしまう馳星周のパワーには心底恐れ入る。

2000年(第2回) ▼楽天
亡国のイージス(下)




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亡国のイージス
「亡国のイージス」福井 晴敏 (著)
 
圧倒的スケールで描く三賞受賞の大傑作!!

在日米軍基地で発生した未曾有の惨事。
最新のシステム護衛艦《いそかぜ》は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。

交わるはずのない男たちの人生が交錯し、ついに守るべき国の形を見失った《楯(イージス)》が、日本にもたらす恐怖とは。

日本推理作家協会賞を含む三賞を受賞した長編海洋冒険小説の傑作。


出てくる人出てくる人がみんな熱い!
その熱さに心を打たれ続けました。
私が今まで読んだ作品で一番鳥肌が立ち、泣けた作品です。
 
文学作品として特筆すべきはその構成にあると思います。
この上巻の大半は主要登場人物の人物像を描く事に終始しているためあまり話が進みません。
しかし読者がたっぷり感情移入したその時に人物たちの人生が交錯し物語りは一気に加速していきます。
そこからは緊張の連続でページをめくる手は止まりませんでした。

軍事や国際政治に明るくなくとも、意外に楽しく読めますし、逆にこれをきっかけに興味を持つ事も有りうると思います。
福井晴敏氏の才能が爆発した作品だと思います。
極上のエンターテイメント作品としてお薦めです。
本当に凄い!!

また、この作品を気に入られた方には同氏の「終戦のローレライ」をお薦めします。

太平洋戦争を舞台にした書下ろし長編です。
この小説を気にいられた方なら存分に楽しんでいただけるはずです!こっちもかなり熱いですよ!! 
2001年(第3回) ▼楽天
スリー・アゲーツ




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スリー・アゲーツ―
「スリー・アゲーツ」五條 瑛 (著)

ソウルから日本へ、北朝鮮の大物工作員・チョンが潜入した。
大量の偽ドル札とともに。
果たして彼の任務とは何なのか?

米国防総省の在日情報機関に所属する分析官・葉山はチョンの残した文書の解読に成功するが、そこには意外な事実が隠されていた。
同じ頃、平壌から一組の母娘が中朝国境を目指していた―。

文庫版のための書き下ろし特別短編『The Game』を収録。

第3回大薮春彦賞受賞の傑作スパイ小説。


工作員はもう人間らしさをすべて捨ててしまっているのかと思っていた。
でもこの本に出てくるエージェントたちは皆とても人間臭い。

チョンも、スーパーKを持ち込み経済をかく乱させようとする行為など、一面は厭うべき工作員ではあるが、家族を愛し、自分の責務を全うしようとする、そんなところに悲しさを感じた。
チョンが決して祖国を嫌いではなく(むしろ好き)、工作員としての許されざる行為も全て家族への愛によるものだというところが涙をさそう。

作者の綿密な調査と知識、そして語り口によってぐんぐん惹きこまれてしまった。
2002年(第4回) ▼楽天
邪魔(上)




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邪魔〈上〉
「邪魔」奥田 英朗 (著)

この小さな幸せは、誰にも壊させない

2002年版「このミステリーがすごい!」第2位
文春 2001 傑作ミステリーベスト10で6位。

及川恭子、34歳。
サラリーマンの夫、子供2人と東京郊外の建売り住宅に住む。
スーパーのパート歴1年。
平凡だが幸福な生活が、夫の勤務先の放火事件を機に足元から揺らぎ始める。

恭子の心に夫への疑惑が兆し、不信は波紋のように広がる。
日常に潜む悪夢、やりきれない思いを疾走するドラマに織りこんだ傑作。

「最悪」と並ぶ、作者の代表作。

本作品には三人の主要人物が登場する。
妻を交通事故でなくしたトラウマから立ち直れないでいる警部補 九野
家族4人で平凡に暮らす主婦 恭子
将来に目標もなく、ワルにもなりきれない高校生 祐輔

一見関係ない彼らの人生が、小都市で起こった放火事件をきっかけに、交錯していくという、クライムノベル。
些細な事件を、一級のサスペンスに仕上げ、一気に読ませる筆力はすばらしいの一語に尽きる。

是非おすすめの一冊である。
2003年(第5回) ▼楽天
ハルビン・カフェ




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ハルビン・カフェ
「ハルビン・カフェ」 打海 文三 (著)  

福井県西端の新興港湾都市・海市。
大陸の動乱を逃れて大量の難民が押し寄せ、海市は中・韓・露のマフィアが覇を競う無法地帯と化した。

相次ぐ現場警官の殉職に業を煮やした市警の一部が地下組織を作り、警官殺しに報復するテロ組織が誕生した。
警官の警官による警官のための自警団。
彼らは「P」と呼ばれた―。

第5回大薮春彦賞を受賞した、著者渾身の最高傑作。


このレベルのものを、同時代に同じ国の人が書いた文章で (つまり翻訳のバイアス無しで)読めるのは大変シアワセなことだと思いました。

とにかく、タイトルの持つ雰囲気と導入部に期待を膨らまして読み始めます。
場面転換が多く、説明が食い足りない分、読んでいて振り回される感じがします。

ちょっとイライラしたり、謎の主人公の男の正体が思ったより早く分かったり、少し不満にも思いましたが、語り口や雰囲気になじんでくるラストに到る頃には、そんなことはあまり気にならなくなっています。


文字がぴっちり詰まっていて、内容も複雑なので、「濃密な読書時間」という本読みの醍醐味を充分味わえます。
2004年(第6回) ▼楽天
ワイルド・ソウル(上)




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ワイルド・ソウル〈上〉
「ワイルド・ソウル」垣根 涼介 (著)

一九六一年、衛藤一家は希望を胸にアマゾンへ渡った。
しかし、彼らがその大地に降り立った時、夢にまで見た楽園はどこにもなかった。

戦後最大級の愚政“棄民政策”。

その四十数年後、三人の男が東京にいた。
衛藤の息子ケイ、松尾、山本―彼らの周到な計画は、テレビ局記者の貴子をも巻き込み、歴史の闇に葬られた過去の扉をこじ開けようとする。
 
04年本作で大薮春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞

大藪春彦賞、吉川英治文学賞、日本推理作家協会賞をトリプル受賞した作品ということでかなり期待値が高かったのだが、その期待をさらに上回る出来で、次のページをめくるワクワク感を与えてくれる本に久しぶりに出会った。

自分の不勉強で知らなかったのだが、戦後のブラジルへの移住政策というのが日本政府の完全な失策であり、著者は、この移住者の多くにかなり過酷な結果をもたらした事実を現地まで赴いて克明に取材し、かなりのリアリティをもって書き起こしている。
実際の過去の出来事の上に、悲劇の日系ブラジル人たちを主人公に据え、おもに日本とブラジルの両国を舞台にフィクションを重ねて描くスタイルで、そのスケールとリアリティと展開の速さには圧倒させられた。

ハードボイルド系を好む男性にも女性にもお薦めの1冊である。
2004年(第6回) ▼楽天
太平洋の薔薇(上)




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太平洋の薔薇
「太平洋の薔薇」笹本 稜平 (著)

伝説の名船長・柚木静一郎は最後の航海を迎えていた。
横浜への帰路を襲った海賊の罠。
船を乗っ取った彼らの目的は、積荷や身代金ではなかった。
裏で、悪名高いテロリストが糸を引いていたのだ。
乗組員の命を楯に取られ、柚木は無謀とも言える嵐の海への航海に挑んでいく。

同じ頃、ロシアでは100トンにも及ぶ、史上最悪の生物兵器が盗み出されていた―。

第6回大藪晴彦賞受賞。
2004年度版 このミス 13位

伝説の船長柚木の最後の航海は老朽船「パシフィックローズ」。

しかし、この老朽船がテロリストにより占拠され、柚木らはロシアへ向かうように指示される。
ロシアで待ち受けるのは旧ソ連時代の驚異の生物細菌兵器。
有効な解毒剤がないため、驚異の兵器として封印されていたこの兵器を巡り、日・米・露、それぞれの思惑が交錯する。

テロを阻止せんとする柚木。柚木を懸命に捜索する娘の夏海、そして、兵器を開発し米国へ亡命した科学者ザカリアンなど、キャラクターのたてかたもうまくできている。

たしかにディテールの甘さがあるし、たとえば、用意周到なテロリストが、後半急に弱くなる!!など、作者のご都合ですすむ展開等、欠点もある。
しかしこれらの欠点を差し引いても、十分に優れた海洋冒険小説であり、一読の価値がある作品として、おすすめできる。

同じ年に「終戦のローレライ」という海洋冒険小説の怪物がいなかったら、もっと注目を集めた作品だと思う。
2005年(第7回) ▼楽天
犯人に告ぐ(上)




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犯人に告ぐ〈上〉
「犯人に告ぐ」雫井 脩介 (著)

「週刊文春ミステリーベストテン」第1位
「このミステリーがすごい!」の2005年第8位。

闇に身を潜め続ける犯人。
川崎市で起きた連続児童殺害事件の捜査は行き詰まりを見せ、ついに神奈川県警は現役捜査官をテレビニュースに出演させるという荒技に踏み切る。
白羽の矢が立ったのは、6年前に誘拐事件の捜査に失敗、記者会見でも大失態を演じた巻島史彦警視だった―

史上初の劇場型捜査が幕を開ける。

2004年のミステリーシーンを席巻した警察小説の傑作。

期待していた以上に面白かった。
主人公・巻島警視と犯人との駆け引きが物語の多くを占めるもの、と思っていたのが良い意味で裏切られました。

「劇場型犯罪vs劇場型捜査」が進行する裏で展開される巻島警視の孤立無援の戦い。
テレビ局と世論、味方であるはずの捜査本部を相手にまで駆け引きを迫られていく過程は、物語全体の緊迫感を小気味良く高めていく。
2006年(第8回) ▼楽天
遠くて浅い海




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遠くて浅い海
「遠くて浅い海」ヒキタ クニオ (著)

殺すだけでなく、その人物の生きて来た痕跡までも消してしまう「消し屋」。
仕事を一つ終え、オカマの蘭子とともに沖縄へ向かった消し屋のもとに、若き天才を自殺させてほしいという依頼が舞いこんだ。
どうやって天才を追い詰めるのか。
沖縄の地に忌まわしくも哀しい記憶が蘇る。

大藪春彦賞受賞の傑作。

消し屋が主人公なのは、前の作品にもありましたが、今回の作品はまた今までと違った味わいがあります。
なんだか沖縄の海って怖いような、脱力感のあるような……。

とにかく天願がどうやって消し屋に追い詰められていくかが見もの。
2007年(第9回) ▼楽天
蒼火




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蒼火
「蒼火」北 重人 (著)

江戸で相次ぐ商人殺し。
彼らは皆、死の直前に、間もなく大きな商いが出来そうなことを周囲に話していたという。

一太刀で相手を絶命させる、そのあまりに鮮やかな手口。
まるでそうせずにはおれないように、人を殺め続ける下手人ははたして誰なのか―。

若き周乃介が事件を追う。


間違いなく時代小説の中心的作家になるであろう、北氏2冊目の長編小説。
江戸の雰囲気が実に良く伝わってくる確かな時代考証に、まずは感心した。
読み進むにつれ、活劇あり、ミステリーあり、恋あり、とぜいたくな面白さにあふれた展開にうれしくなった。

最後のページまで、手に汗握ること間違いなし。

傑作である。
2007年(第9回) ▼楽天
Tengu




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TENGU
「TENGU」柴田 哲孝 (著)

1974年秋、群馬県の寒村で起こった凄惨な連続殺人事件は、いったい何者の仕業だったのか?

70年代の世界情勢、さらに2001年9.11米同時多発テロ事件にまで連関する壮大なミステリー!


引き込まれるような話の展開で、飽きる場所もなく、一気に読み進めていくことが出来ました。
題名がネタばれなのかなと思っていましたが、 いやいややっぱりこのタイトルで正解です。

激しい描写もありますが、読んでいて胸が悪くなるほどではなかったです。
最後の最後で唖然として、納得しました。

ラストを知らないでぜひ読んでみてほしいです。
2008年(第10回) ▼楽天
サクリファイス




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サクリファイス
「サクリファイス」近藤 史恵 (著)

ただ、あの人を勝たせるために走る。それが、僕のすべてだ。

勝つことを義務づけられた〈エース〉と、それをサポートする〈アシスト〉が、冷酷に分担された世界、自転車ロードレース。
初めて抜擢された海外遠征で、僕は思いも寄らない悲劇に遭遇する。
それは、単なる事故のはずだった――。

二転三転する〈真相〉、リフレインの度に重きを増すテーマ、押し寄せる感動!

青春ミステリの逸品。

これは「サイクルロードレース」という、日本人にはまだ馴染みの薄いスポーツに人生をかけていこうとする若者の物語。
ロードレースならではのルール、組織、葛藤、問題をこれほど見事に盛り込んだ「小説」が日本でやっと生まれた、記念すべき作品ではなかろうか。

主人公は自転車ロードレースのプロチームに所属する「アシスト」。
アシストとは、リーダーたる一人の選手の為に走る、支える存在。
でも、彼らがいるからこそ、リーダーは勝利への責任を負っているのだ。

「サクリファイス(犠牲)」とは、はたして何なのか、そして誰なのか。
最後まで気をゆるませない展開と、可能性に満ちたラストシーンに、読後は知らずに涙していた。

ロードレースのファンなら、読んで損なし。そして、これからロードレースを知る人にも。
2008年(第10回) ▼楽天
すじぼり




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すじぼり
「すじぼり」福澤 徹三 (著)

少年の瞳にうつる、壮絶に散ったやくざの生きざま。

ひょんなことからやくざ事務所に出入りすることになった亮。
時代に取り残され、次第に生きる道を失っていく昔ながらの組の最期に立ち会う少年の目を通して、一つの時代の終焉を哀切と共に綴る瑞々しい青春極道小説!


北九州市に住む滝川亮は地元の私立大学4年生で父親と二人暮らし。
就職の当ても無く、卒業もきわどい有様だ。
亮はかつて東京に居たが、父親が事業に失敗し中学のとき父の実家がある北九州市にきたのだった。
父はタクシー運転手をし苦労して息子を大学にやったが、無目的に日々を過ごす亮との仲はよくない

ある日亮は、悪友の翔平と和也にそそのかされて、繁華街のクラブの金庫の大麻をくすねる。
やくざに追われ逃げ込んだバーで、亮は速水という男に助けられる。
速水は小さなやくざ組織速水総業の組長だった。
ひょんな出会いから、亮は速水総業に出入りし、19歳の下っ端組員・松原にパソコンを教える羽目になる

速水総業には、ほかに武闘派の若頭・武石、風俗担当の若頭補佐・目黒、債権取立て専門の尾崎がいた。
速水総業は任侠道を律儀に守ろうとする古い体質の集団だった

やがて友人の和也が自分を速水の配下だと虚勢を張って事件をおこし、それが発端で速水総業は、対立組織仁龍会との凄惨な抗争に突入してゆくことになる。

世話になった速水を助けようと真剣に苦悩し、もがく亮――。
物語は父と子の対立と和解を織り交ぜつつハイスピードで展開する

アウトローの世界を描きながら何故か哀感切々たるものが心の奥底から吹き上げてくる。見事な青春小説である。
2009年 (第11回) ▼楽天
路傍




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路傍
「路傍」東山 彰良 (著)

二十八のいま、輝いて見えるものなんか、なにひとつない。
学もカネも仕事もない船橋のビート・ジェネレーションが房総半島を突っ走る。

これが2008年の『オン・ザ・ロード』だ。


今までの東山彰良の作品の中で、1番殺伐としている小説。
もちろん、いつもの笑いの要素もふんだんに盛り込まれているが、人生に追い詰められた30近い男達の絶望的な、だが儚い希望のある青春群像だろうか。

連続短編集だが一気に読みきるにはいい分量。



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